眼精疲労で労災適用が可能か

労災とは労働災害の略語で、労働者が仕事によって負ったケガや病気などのこと。労災が適用されるとさまざまな補償が受けられますが、眼精疲労の場合はどうなのでしょうか。日常生活に支障が出るほど悪化してしまったとして、果たして労災が受けられるのかを考えます。

労災とはなにか

労災保険とは正社員、パート、アルバイトなどの雇用形態の違いにこだわらず、すべての労働者が入ることを義務付けられた保険です。個人で加入するのではなく、会社がまとめて加入しており、必ず加入しなければならない義務があるため、強制保険と呼ばれています。労災保険とは労働災害補償であり、労働者が仕事中にケガを負ったり病気になったり、または死亡してしまうことがあった場合補償を受けられる保険です。

・治療や手術代、薬代、入院、看護台などが支給される療養補償給付
・休職中の給与の80%が支払われる休業補償給付
・もしも後遺症が残った場合、年金や一時金が支払われる障害補償給付
・もしも死亡した場合、残った家族に遺族年金が支給される遺族補償給付

このような補償制度が整っています。この労災保険は労働者を守るための保険であり、事業主は1人でも雇っていればこの保険に加入する義務を負わされています。労災保険の適用は業務中の起こったことだけでなく、通勤途中に起ったことも含まれています。ですが労災の適用はなかなか難しい場合もあり、労災認定の裁判が行われることも少なくありません。

眼精疲労での仕事への影響とは

眼精疲労にはさまざまな症状があります。ほとんどの人が目の症状を想像すると思いますが、実は体中に色々な症状が現れるのです。代表的な疲れ目、眼精疲労の症状といえば、二重に見えるとかピントが合わない、ショボショボする、目の奥が痛い、ドライアイの症状などが挙げられますが、気付かない隠れ眼精疲労の症状が広がっている可能性があります。

例えばひどい肩こり。慢性の肩こりでいつも痛い、軽くなる時がないなどつらい症状、身に覚えありませんか?この肩こり、実は眼精疲労が原因なのかもしれないのです。眼精疲労は緑内障や白内障など病気が原因の場合は除き、その原因は目の機能不全にあります。目のレンズの役割を果たしている水晶体は厚くなったり薄くなったりしながら目のピントを合わせています。

その水晶体の厚みを微妙に調節しているのは、水晶体を支える筋肉である毛様体筋です。毛様体筋は伸びたり縮んだりしながら、水晶体をコントロールしているのです。しかしパソコンやスマートフォンなどの長時間使用により長い間緊張状態にさらされてきた毛様体筋は、その他の筋肉同様コリ固まってしまいます。コリ固まってしまった毛様体筋はスムーズな動きを行うことができず、ピント調整機能に不具合が出てしまうわけです。老眼の場合もその仕組みやメカニズムは同じで、年齢を重ねたことによる各パーツの劣化がプラスされる違いがある程度。

このようにコリ固まってしまうと血液の流れが悪くなり、やがて体の血流も同じようにスムーズに流れなくなります。それによって肩こりが起こるのです。血流悪化だけに限らず自律神経の乱れを引き起こす眼精疲労は、ひどい頭痛や吐き気、めまい、不眠、うつ症状、イライラするなど日常生活にまで支障をきたすような重い症状が現れる場合も少なくないのです。

眼精疲労で労災が適用されるのか

眼精疲労の症状は目だけに限らず、私達の体や精神にも支障をきたすほど深く思いものです。眼精疲労にならないためにさまざまな努力をしたけれど、一番の原因であるパソコンやスマートフォンの長時間利用だけは仕事のため避けられない。そんな人が重い眼精疲労の症状を訴え、仕事を休職したい、または労災を適用したいと思った場合、果たして可能なのでしょうか。実はパソコンを使用する仕事で初めて1998年に眼精疲労による労災認定が行われています。この事例では、申請者はパソコンを凝視する仕事を続けてたところ急な目の痛みを吐き気に襲われ仕事ができず、約1週間仕事を休まざるを得なかったそう。病院で診察を受けると眼精疲労と診断されたとか。これを受けて厚生労働省は2002年に『VDT作業における労働衛生管理のためのガイドライン』を発表しました。VDTとはVisual Display Terminalの略ですが、長時間ディスプレイを見続ける作業を行うことを指しています。このガイドラインによると、このようなことが取り決められています。

・照明・採光など作業環境への配慮
・作業内容に応じた作業時間制限や休止時間
・機器や机・いすなどの調整
・健康診断や安全衛生教育の実施

これらのことに違反していると、労災適用がしやすくなるのではないかと言われていますが、目の疲れだけでは認定されることは難しく、少なくとも6ヶ月以上その作業に関わり、非常にひどい吐き気やめまい、疲れ、頭痛などを訴え、継続作業が難しい場合の適用になりそうです。現在では目の酷使は仕事場だけに限らず、その範囲は特に広がってきたため、本人の努力も必要だという流れに傾いてきたようです。